用語解説

胎児治療

胎児治療

内視鏡を用いて気管内バルーン留置による胎児鏡下気管閉塞術(fetoscopic endoluminal tracheal occlusion:FETO)が行われています。この治療の原理は、気管を閉塞することにより肺胞液が貯留し、肺が拡大・膨張することを利用しています。
ヨーロッパのグループの報告では、治療適応をより重症例に限定し、内視鏡機器もより低侵襲なものを利用した結果、 胎児治療群の方が生存率が有意に勝っていたということです。

FETOの有効性を検証するために、欧州とカナダを中心に、FETOランダム化比較試験であるTOTAL (tracheal occlusion to accelerate lung growth)trialが実施されています。
日本でも症例登録と治療を行っています。重症例では有効性が確認され、今後も治療が行われる予定ですが、中等症例は解析結果がでるまで中断しています。 


(図はJapan Fetal Therapy Group2013のHP https://fetusjapan.jp/method/method-68 より引用)

肺高血圧

先天性横隔膜ヘルニアでは肺が十分育たず、肺胞(酸素交換に必要な袋)や気管の枝分かれも少なくなっています。このような肺では、肺の血管の面積も少なく、肺動脈自体も壁が厚くなっています。生まれてから上手に酸素交換ができないことで肺動脈がさらに縮んでしまうことも重なって心臓から肺へ血液がうまく送れません。そうすると全身にもきれいな血液を十分送ることができなくなってしまい、しんどくなります。治療は一酸化窒素(NO)を吸入することで、肺動脈だけを広げて肺に血液を送りやすくします。酸素投与も有効ですし、内服薬を使用することもあります。


健康な赤ちゃん

 

健康な赤ちゃんでは生まれた後、自分で呼吸をすることにより、肺の血管が拡がり、肺への血流が増加します。その後、肺の血管抵抗も下がります。卵円孔、動脈管もやがて閉鎖し、体中から戻ってきた血液は肺動脈を通って肺にスムーズに運ばれ、酸素たっぷりの血液を体中に運ぶことができます。


肺葉外肺分画症

正常の空気の通り道と交通のない肺で、肺動脈ではなく大動脈からの血液で栄養される異常な肺のことをいいます。肺のできる過程でおきた病気で悪性ではありません。治療は外科的切除です。

胃食道逆流症


胃酸ともに胃の中に入ったミルクや食べ物が食道に逆流して嘔吐や咳、喘鳴(ゼーゼー)をひきおこします。生活指導や薬物療法を行っても症状が良くならないときは手術が必要です。


メッケル憩室

小腸の中間部分にみられる袋状の突起物を指します。ほとんどは無症状に経過し、症状が出るのは4%前後で、主な症状は、下血あるいは腹痛です。

漏斗胸

胸の中央部が凹んでいる変形のことをいいます。ほとんどのケースでは凹み以外の症状はないことが多く、整容上の理由で治療されることが多いです。治療方法は陰圧吸引療法や手術などがあります。

側弯

背骨が横に曲がり、多くの場合背骨自体のねじれを伴います。側弯症がひどくなると変形による心理的ストレスや腰痛、背部痛、肺活量の低下が起こります。まれに神経障害を伴うことがあります。治療方法は手術です。

 

口唇口蓋裂

先天的に口唇(くちびる)、口蓋(くちの中の天井)、上顎(はぐき)に裂を認める病態です。日本では500人に1人程度の頻度で生まれるとされています。症状としては、口唇裂では多くの場合、顔面の変形は口唇にとどまらず外鼻(はな)にも及び、整容性の問題のほか、摂食、言語の問題が生じます。口蓋裂では、食事や言葉が鼻から漏れることにより、摂食、言語の問題が生じます。治療を行うことにより、多くのお子さんは他のお子さんと同様な生活を送ることが可能です。 

 

13 トリソミー

13番染色体が3本あることにより、成長障害や先天性心疾患、けいれんなどを伴うことが多いですが症状は一人一人違います。変化する病状に合わせたきめ細かな医療的ケア、療育的支援が必要です。 

18 トリソミー

18番染色体が3本あることにより、先天性心疾患、肺高血圧、呼吸不全をきたすことが多いです。病状に合わせたきめ細かな医療的ケア、療育的支援が必要です。

シナジス

 RSウイルスに対する抗体の注射です。秋から春にかけて毎月1回注射が必要ですが、予防接種とは違うので、スケジュールを気にすることなく注射できます。とても高価な注射なので、誰でもできるわけではなく、RSウイルスにかかると重症化しやすい赤ちゃんが対象になります。注射の対象者については、KNOW★VPD!のHP(リンクをお願いしているところです。)をご覧ください。
(注)先天性横隔膜ヘルニアという病名だけでは、対象にはなりませんので、主治医とご相談ください。

発達検査

発達全般、知能、言葉や対人関係、運動などのこどもの状況を客観的にみる検査です。結果は、発達指数(Developmental Quotient:DQ、年齢どおりに発達していれば100)で表現されます。発達指数は、同じこどもでも成長にともなって変化しますので、定期的に検査を受けることで発達の状況を確認することができます。
検査方法は様々なものがあり、心理士さんと積み木やパズルで遊びながら検査することもあります。小さい間は親も後ろで見れて、こんなことできるんだ!と新しい発見があるかも!