モニター解説
生まれてすぐや手術の後の面会では、お子さんはお薬で深く眠っていることが多いです。
近くにいるけど抱っこも出来ず、もどかしい気持ち・・・
お子さんとお子さんの状態をうつしだすモニター画面を交互にみる時間が続くと思います。
このたくさんの数字は何を意味しているの?
モニターのアラーム(警告音)がなっているけど、看護師さんはボタンを押してそれを止めて別の子のところにいっちゃった・・・大丈夫かな・・
看護師さんに聞きたいけど忙しそうだし・・・
そんな時、少しでも知っている数字があればいくらか安心かもしれません。
写真はプレママタウン「NICU(新生児集中治療室)ってどんなところ?」https://www.premama.jp/p/birth/premature-delivery/pt0504.htmlより引用。
モニターの種類はたくさんありますが、数字はほぼこの並びで並んでいます。
医師は基準値を設定し、その範囲を超えるとアラームが鳴り、ランプが点滅して知らせてくれます。アラームが鳴るということは、お子さんの状態に変化があるということなので、その原因を確認する必要があります。
心拍数
一番上の緑色の数字は心拍数です。
心拍数は、妊婦健診で血圧を測る時、いつも一緒に測定されているので、ご自身はだいたいいくらかご存じだと思います。(個人差はありますが、1分間に60~80回くらいの方が多いです。)
大人と子どもでは心拍数の正常値は異なり、生まれたての赤ちゃんで1分間に130~140回、1歳ころになると120~130回といわれています。
面会に通っていると、そのうちお子さんが楽そうなときの心拍数はどれくらいだな、というのがわかるようになると思います。その普段の心拍数が140回だとすると、150~160回くらいにあがっている場合は、眠りが浅くなってきていたり、少し調子が悪かったり、何か訴えたいことがあるのかな、と考えます。
ただ、赤ちゃんでは少し泣いたりするだけで心拍数は簡単に200回を超えることもあります。一時的に心拍数が上昇し、基準値をこえてアラームが鳴ってしまっても、赤ちゃんが泣いていたり、原因が明らかにわかる場合は看護師さんはアラームボタンを止めて特に何もしないこともあります。
酸素飽和度
下から2番目の青色の数字は酸素飽和度です。
酸素飽和度は、健康な大人にとってはあまり馴染みのないものかもしれませんが、血液中にどの程度の酸素が含まれているかを表す数値です。
この数値は大人でも子どもでも、正常値は96%~99%です。90%より低いと十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態の可能性があると言われています。
ただ、お子さんの状態や体の向きなどによって、一時的に、95%を下回ったり、数字がふらふらと変動することもあります。
また、酸素飽和度も、赤ちゃんが泣くとうまく数値を測れなくなり、一時的に90%を下回ることがあります。酸素飽和度は、手や足の指先や足の甲などにセンサーと呼ばれるテープを巻いて測ることが多いのですが、それがうまく装着されていないと数値が低くでることもあります。
原因が明らかにわかる場合は心拍数と同じようにアラームを止めるだけで何もしないこともありますが、数値がいつもより低い状態が続くようであれば、センサーがうまく装着できているかを確認した上で、痰を吸引したり、呼吸器の設定を変更したり、レントゲン撮影や血液検査を行うこともあります。
呼吸数
一番下の白色の数字は呼吸数です。
ご自身の呼吸数はあまり意識されたことはないかと思いますが、大人では1分間に18~20回くらいです。
心拍数と同じように大人と子どもでは正常値は異なり、生まれたての赤ちゃんで1分間に40~50回、1歳ころになると30~40回といわれています。
呼吸数も、普段より早くなる場合は、眠りが浅くなってきていたり、少し調子が悪かったり、何か訴えたいことがあるのかな、と考えます。
こちらも泣くだけでかなり早くなりますので、アラームが鳴っても何もしないことがありますが、数値が高い状態が続くようであれば酸素飽和度の低下と同じように原因を検索する必要があります。
呼吸数に関しては、お家に帰られてからも手軽に測定できますし、お子さんの状態をみるとても良い手段だと思います。
パルスオキシメータ
お子さんの状態が落ち着けば、呼吸数などは1日に何度かの測定で良くなり、酸素飽和度と脈拍数だけを測定する器械に変わります。
なんだか少しずつステップアップしていくのは嬉しいですね!
下の写真の器械は入院中も、人工呼吸器や在宅酸素の方はお家でも使用されることがあると思いますので、簡単に特徴をご説明します。
アラームの設定は自分でできるので、お子さんの成長や状態にあわせて変更できます。
人工呼吸器や在宅酸素の方は、提携している酸素ボンベの会社から貸し出してもらえますが、基本的にはどちらか1つを選択することになります。
(会社によっては選べないこともあります。)
据え置き型
重さは1.6kgくらいで、結構ずっしりとした重みと大きさがあります。
とても荷物になりますが、右に書いたような事情で、外来にもこちらを持ってきておられる方をよく見かけます。
携帯型
重さは300gくらいなので、外出時に便利です。入院中は、検査でベッドから移動するときなどにこれにつなぎかえることもあるでしょう。少しでも荷物を減らしたい外出時はとても便利なのですが、新品の乾電池をいれても1日もたないことが多く、夜間など継続してモニターが必要な方は据え置き型が良いかと思います。